■きちんと学び直す

PARALLEL/CYGNUSの執筆を開始し、全体プロットも基本設定も出来たというのに、どうにも本文を書いていて止まる箇所が出た。

しばらくは、あぁでもないこうでもないと考えたり、今までに書き溜めたメモ群を見返したりしていた。


力業で行けないことも無いが、こういう場合は経験上、あまり効かないと分かっていた。
仮に力業で進めたとしても、その先がスムーズに行くと思えなかったからだ。

まだ、この先さえ抜ければスムーズに繋がる、ここだけ繋げ方が少しきびしい小山があるから突破したい、という程度の課題にしか、力業は効かない。
それも、あまり使いたくはない。


そうしてしばらく考えた結果、どうにもこれは、根本的な何かであると結論付けた。

そしてそれは、短編を書いていた時にはあまり感じられなかった性質のものであると分かった。


すなわち、長編としてのシナリオやシリーズ構成的な部分で、根本的に何か課題がある。

これは、一度きちんと学び直さねばならない。
いや、そも10代の頃から我流でやってきたのであって、きちんと学ぶ機会を設けてこなかった。
これはせめて”独学”くらいせねば、この先の持久走的な”長編”を乗り越えられない。


そう思い立ち、いくつか本を漁った。


じつは過去にも何度か、小説に関して学ぼうと指南書を漁った事はあった。
が、中々良いものに出会う事が叶わず、これなら書いている時間に費やす方がマシだと断念していた。

しかし、今や課題は明確化されている。
そうして自身の得意・不得意もある程度の自覚が持てているから、技術書・専門書を探す要領でこれを探す事が出来た。
エンジニアとしての経験は、書籍探しという面において有用に働く。

電子書籍というのは便利で、目次と序文程度なら大概が閲覧可能である。
更に、類似の書籍もレビューや類似商品欄等で紹介してくれる。


そうして漁った結果、洋書の翻訳本に良い物を見つける事が出来た。
ここ2~3週間程、これで学んでいる。


本来、ここまで時間をかける予定は無かったが、今日までかかった。

はじめてこの手の本を読んだ為、読むのに時間がかかったというのもあるが
洋書の翻訳本にありがちな、内容以外の難題に苦戦していた。

これは分野に関わらず、例えば学術的な専門書や技術書等でも同じなのだが、洋書には海外特有の言い回しや表現が出る。書き方が出る。

背景にある知識や文化・前提が違うので、シニカルな表現などは特に分かりづらい。


そこを訳者のセンスや技量のフィルターを通しているのだから、翻訳本には物によって独特の読みづらさが生じる。

小説の翻訳本だと、あまり気にならないものが多いかもしれない(あくまで主観)。
これは論理構造よりも、ストーリーやドラマ性がメインだから気にならないのかもしれない。あるいは無意識に読み飛ばしているか気づかないのか。


予想以上の苦戦に、少々閉口した。
だが、得られた結果は非常に強力だった。
たぶん一生使える部類のものであり、有効な関連書も目星をつける事が出来た。


PARALLEL/CYGNUSの執筆に取り組まなければ、下手をすれば一生このように学ぶ機会が、無かったかもしれない。


CYGNUS.CCという作品と、プロジェクトと出会わなければ、得られなかったであろう沢山の事が、ここ数ヶ月の中で劇的に起こっている。
特にELECTROCUTICA様の寛容な許諾(2次創作に対するもの)により、執筆を開始出来た事で得られたものは計り知れない。
場違いかもしれないが、ここで改めてELECTROCUTICA様に感謝を示したい。


さて、そうしてなんとか一通りを読み終え、筆が止まっていた原因も分かってきた。
これは主として、私の骨格構築に不足部にあった。

私は、これから書こうとする物語に対して理解不足だった。

自身で考えている物に理解も何もあったものか。
あるいはCYGNUS.CCの作品設定の読みこみが甘かった事に気づいたか?と、思われるかもしれない。しかし、そうではない。

”物語”という”構造"として、理解不足だったのだ。


どうりで筆が止まる訳だ。
いや、むしろ現時点で止まっていて良かったのかもしれないとさえ思う。
こう必要に迫られねば、腰を据えて学ぼうという気にはならなかった。


課題や原因が分かれば、山を登るところまでは来たようなものだ。
後は下るだけである。


本連休の予定だが、他の同分野で有名な書籍をいくつか購入し読む予定だ。
得た知見をもって、自身の好きな作品を新たな視点で見て見るのも良いと考えている。



大分遠回りした感じがする。
焦りが無いといえば嘘になる。本文を書いていない時間が長いと、不安になる感覚は否めない。

だが、確実に得ている物があるという感覚もまた、ある。


まだもう少し、学ばねばならない。